カイロプラクティックコラム

カイロプラクティックの資格とは?カイロプラクターを目指すために必要なこととは

カイロプラクティックとは、アメリカを発祥とし、主に骨のズレや歪みを矯正することで身体の状態を改善していく民間療法の一種です。カイロプラクティックは日本では法制化・体系化されておらず、カイロプラクティック施術を担当する「カイロプラクター」と呼ばれる職種に就くためには、資格は特に必要がない状態です。この記事では、カイロプラクティックに関する資格について全般的に解説します。

 

1.「カイロプラクティック」とは?

カイロプラクティックの資格についての事情を見ていく前に、そもそも「カイロプラクティック」とは?といったところから簡単におさらいしていきましょう。

 

「カイロプラクティック」とは、1895年にアメリカで誕生した民間療法であり、代替療法です。カイロプラクティックの語源としては、「カイロ」はギリシャ語で「手」の意味を持ち、「プラクティック」は英語で「技術」を意味し、その二つを掛け合わせた造語となっています。

 

定義としては造語の通りで、手技を用いて身体に技術的に働きかけることで身体機能に改善を図るのが、カイロプラクティックの主な目的です。またカイロプラクティックにおいては、施術の際に特に骨格、骨盤、関節などに働きかけ、骨のズレや歪みを矯正するというのが特徴的です。

 

血行不良や体の重み、痛みなどの根本には、そもそもの姿勢の悪さ、体幹の歪み、骨の変形やズレや歪みなどが潜んでいる場合があります。そうしたときに活躍するのがカイロプラクティックなのです。

 

2.「カイロプラクティック」に資格は必要ない?

日本でカイロプラクティックの施術を行う際には、実は特段資格は必須ではありません。

 

これは、カイロプラクティックがアメリカ発祥の海外から輸入された民間療法であること、日本に取り入られてからまだ年月が浅く体系化が進められていないこと、それに伴って法制も整備されていないことが原因です。法整備がしっかりした職業の場合、多くは国家資格が設けられ、しっかりと法律によって規制され、そのルールに従って職務に従事します。

 

そうした国家資格が設けられてないカイロプラクティックの分野では、カイロプラクティックの施術を行う人=「カイロプラクター」には、誰でもなることが可能です。法制化されていないこともあって、特段資格がなくても、極論をいえば全く技術がなかったとしても「カイロプラクター」を名乗って営業することが可能となっています。

 

こうした規制がない状態というのは一見自由で風通しがいいように思われますが、実際には非常に危険です。なぜなら、「技術のレベルを公的に保証する手段がない」からです。全く技術がなく遊びのようないい加減な施術しかできない場合でも、カイロプラクターを名乗りカイロプラクティックを行うことが可能なので、施術を受けて逆に痛みがひどくなったり、新たな痛みや体の不調が出てきたりもしてしまいます。

 

実際に自称カイロプラクターによるいい加減な施術で、頸椎アジャストメントによる事故の報告例も相次いでいます。こうした問題を受けて厚生省が「一部の危険な手技の禁止」を通達することとなってしまいました。

 

海外では、1997年にNGO団体「世界カイロプラクティック連合(WFC)」がWHO(世界保健機関)に認可され、世界80カ国以上が加盟しています。海外には国家資格が設けられた国もあり、そうした国ではカイロプラクティックが発達し専門的な技術としても浸透しています。

 

日本にも加盟団体「日本カイロプラクターズ協会(JAC)」が存在していますが、まだしっかりとした法制化・体系化は進んでいないというのが現状です。

 

3.現状あるのは民間資格のみ

カイロプラクティックは以上のような事情があるため、国家資格は存在せず、資格取得の義務すらもありません。しかしスキル向上や技術力の証明のために、乱立はしているものの民間資格がある程度あり、そうした民間資格が公的な技術力の底上げのために役立っています。

 

例えば日本では2014年に「日本カイロプラクティック登録機構(JCR)」が設立され、「登録カイロプラクター」認定制度がスタートしました。JCRは、WHOが2005年に発行した「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン(指針)」に準拠したカイロプラクティック教育の普及と、国際標準のカイロプラクティックの資格化実現に向け設立された団体です。

 

JCRでは団体が認定する登録カイロプラクターの名簿を広く一般に公開し、定期的に厚労省や関係省庁にも提出することによって、WHO基準レベルの技術を持ったカイロプラクターの水準を公的に明確化しており、公的資格化に向けた各種取り組みにも従事しています。

 

カイロプラクターの民間資格には通信教育などのいい加減なものも多いですが、こうした国際的な技術水準を意識して認定する団体を選べば、しっかりと技術力を証明できる一人前のカイロプラクターを目指せます。

 

4.JCR認定「登録カイロプラクター」資格を取るための手順と、試験の難易度・合格率とは

それでは、JCRが認定する「登録カイロプラクター」の資格取得を行うには具体的にどういった手順を踏む必要があるのでしょうか。

 

簡単に言えば、「JCRが行なっている登録認定試験に合格すること」が条件となりますが、登録認定試験を受けるにも所定の条件があります。JCRの登録認定試験を受けるためには、「WHOガイドライン準拠のカイロプラクティック教育プログラムを修了した者であること」が必要になります。

 

教育プログラムには「CCE認証取得カイロプラクティック教育」をはじめとしていくつか存在しますが、そうしたプログラムを修了したもののみが登録カイロプラクター名簿への申請資格、および認定試験受験資格が与えられます。

 

認定試験は年に1回行われ、試験は第一部と第二部に分かれています。それぞれ135分、多肢選択のマークシート形式で行われます。難易度は各科目の基本的なことを理解していれば概ね合格可能なレベルと言われていますが、基礎医学やカイロプラクティックの検査法についての網羅的理解、施術のテクニックや臨床能力も必要になりますので求められるレベルは高いです。

 

合否基準は7割程度の得点がボーダーラインとなっていて、合格率はおよそ80〜90%となっています。

 

5.まとめ

以上、カイロプラクティックの資格をめぐる現状や問題点、資格取得の方法などについて、一通り網羅的に説明してきました。カイロプラクティックは日本では未成熟であり、事故例も報告されていることから早急な法制化、公的資格化が望まれています。

 

日本にはWHOガイドラインに準拠した国際標準の教育レベルを擁した団体は少ないのが現状です。「東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック 」という、カイロプラクティック教育評議会の国際認証を取得している日本で唯一の教育機関もありますが、しかし、文科省の認可校ではないので高等教育の取得単位には認定されないのがネックです。

 

そんな中でも前述のJCRは国際標準を意識したカイロプラクティック教育を重要視しており、もしカイロプラクティックの資格を取るならば、こうした団体の資格を選べば確かな技術力の証明になるはずです。

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